- 2003-10-02 (Thu) 23:43
昨日の昼に読みはじめた『朗読者』を読み終えました。物語に惹きつけられて、一気に読まないわけにはいかなかったという感じです。もし今日が休日だったら、昨日の夜、睡眠時間を削って読み継いでいたことでしょう。
とにかく両手を上げてお奨めする小説です。ボクは読むことを止められなかった。電車の中で泣きそうになった。
なんて悲しい物語なんだろう、と読んでいる途中はそう思っていた。でも最後になって、違うんだ、と思うようになった。悲しさだけで片づけてしまってはいけないのだ、と。過去に対峙するこの作家の姿勢がボクの中にはあるだろうか? ボクは過去に対してそのような接し方をできるだろうか?
過去というものに向き合うことについて、この小説を読みながら考えていたし、読み終えた今も考えている。
幸福だった過去の瞬間を、思い出としてそのまま持ち続けることができないのはなぜなんだ! それができれば、それさえできればボクはもっと幸福な人生を送れるのではないか。ボクは過去がすべて重荷となってのしかかってくるような人生を送っているような気がする。いや、違うな。むしろボクは過去の中でしか生きていけないのかもしれない。過去を現在の中に見いだすのではなく、過去と現在の間には断絶があって、ボクの過去はボクの現在となんのつながりもなく存在し、ボクは現在の自分とつながりのない過去の中に生きようとしているのだと思う。
なぜそのようなことをしているのか、してしまっているのか。なぜだろう。
それでもときどき過去と現在の間に回路が通じる瞬間がある。それは長続きしないし、いつ訪れるかもわからない。
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