- 2004-01-12 (Mon) 11:30
祖父の死がボクにとってどういうものであったのか、またこれから先どういうものであり続けるのか。
ここ数年では、昨年の10月か11月あたりにボクが祖父に家に行き、祖父・祖母・父親と4人で鍋をつついている。その次は、もう祖父の死の前日になってしまう。今年の1月7日の午前と午後。午前中に病院を訪れたときには、従兄弟の男の子と奥さんと子供がいたりして落ち着かなかった。それから会社に行き仕事をしていても、祖父のことがどうも気になって落ち着けなかったから、最初のうちは夜に行くつもりはなかったのだけど、気になるくらいなら絶対に行かないと後悔すると思ったので、夜も仕事を早々に切り上げさせてもらって病院を訪れた。そのときは祖母がいただけで他には誰もいなかった。午前に訪れたときと同じように祖父に声をかけ来たことを知らせ、手を握った。祖父はもうほとんど意識も朦朧としているような状態だったようだけど、ボクには気づいてくれた。ボクは祖父の1番目の孫で、1番可愛がってもらった。祖父の手は温かかった。その3日後に最後に祖父の身体に触ったときの冷たさを忘れはしないのと同じように、最後に祖父の手を握った温かさをボクは忘れはしない。
祖父には怒られたことがない。祖父とは何かについて話し込んだこともない。無口な方だったと思う。でも、いつも『食べるものがあるか』とか『お金はあるか』とか、行くたびに聞かれた。死の前日、話しかけているのがボクだとわかったようで、一緒に横にいた祖母に向かって祖父は親指と人さし指で円を作って見せた。ボクにお金をやれと祖父は力を振り絞って伝えてみせた。
祖父の元を訪れたあと、落ち着かなくてタバコを吸いはじめた。祖父のお通夜、葬式を通してタバコを吸い続けたけど、それももう辞める。祖父が死んだあと、死体として存在していた祖父も葬式のあとで火葬場で焼かれ、骨が箱にしまわれた。もう祖父がこの世にいないのだと思うと、もう祖父と今までのように会うことができないのだと思うと、悲しみというよりは空虚さのような感覚に襲われる。どこかぽかんと空いた空間がボクの気持ちの中にできてしまったような気がする。
祖父がどのような人生を歩んだのか、ボクはほとんど知らない。
