マリー・アントワネットを見てきました。
200年以上前のフランス王妃をガーリーな世界に蘇らせたその発想はすばらしい。パリではロックで踊る仮面舞踏会が開かれているし、色とりどりのケーキやらシャンパンに囲まれた生活はそれっぽいロックスターかアイドルかと思わせるほどで、実際に歴史上のマリー・アントワネットがそのような生活を送っていたのかどうかは知らないけど、いずれにせよそれと近いようなことにはなっていただろうからそれっぽいロックスターやアイドルと同様に遠い存在として感じていたのだけど、パーティーで酔っぱらって朝まで飲んで夜明け前に表に出てまだ薄暗い中を走ったりして日の出を見たり、朝まで飲んだあとでひとり浴槽に浸かって自分を見つめているような雰囲気を出していたり、静かな昼下がりに流れる舟に寝そべって川面に指先を浸したり、そういったようなところは身近に感じたりもするのだった。
自由奔放だったらしいマリー・アントワネットはベルサイユの生活が退屈だったのだろう。また夫との生活もなかなかうまくいかず、それらから逃れるようにガーリーな世界を築いたのだろう。まばゆいばかりのスイーツにシャンパン、ソファーにはペットのかわいい犬がいて、新しい靴や服が運び込まれてくる。
マリー・アントワネットについては多くの人が知っているし、彼女がどのような人であってどのような最期を迎えたかということについて最低限の情報は持ち合わせているのではないだろうか。だからいくらベルサイユにガーリーな世界を築き上げたとしても、いつか民衆がそこに押し寄せてきてそれは消えてなくなってしまうのだろうと知っている。
期待していたのはもっとマリー・アントワネット(キルスティン・ダンスト)がはじけていてロックももっと鳴り響いていてクレイジーな感じだったのだけど、わりとしっとり・しっかりとした映画だったなあと思う。ストロークスが流れたところは音楽のチョイス完璧、と思った。