大阪に帰っていた間にしたこと、思ったこと

 先週一週間を丸々休んで大阪に帰っていたのですが、休日は妻とか妻の妹と出かけたりしたとして、平日は基本的にひとりで過ごさねばなりません。それで何をしていたかというと外出半分、インドア半分という感じでした。
 大阪の街を思う存分(イコール、足が動くまで)歩きたおしたのはすでに書きましたが、その他の大きなイベントとしては約半年ぶりに髪を切りに行ったことでした。妻と同棲をはじめたマンションの近所にあった美容院に通っていたのですが、最後にそこで髪を切ってもらったのが東京に引っ越す直前で(ああ、それはボクの誕生日で市役所に婚姻届を提出した日だった)、それ以来、髪は日々伸びていきボクは東京で新しい美容院を見つけることが出来ずにいました。まあただの横着なわけですが。
 先月の帰阪の際に行こうと思っていたのですがちょうど美容院が改装工事に入っていたので行くことが出来ず、その後、今月に入って妻が友達と行った話を聞いて(『広くなっていた』)今度こそはと思いを募らせていたわけです。ボクが東京に出てきた1ヶ月後に大阪の家を引っ越してからは一度も足を運ばなかった土地に再び向かうと言うことでボクは少なからず興奮を覚えていました。ボクはそういう類のことに興奮を覚える質なのです。前にも書いたかもしれませんが、その土地ではボクたちはたくさんの苦労を経験しました。それらの苦労が着実に今の実りに結びつくようにボクたちは必死に生きてきたわけです。ボクと妻の働く時間が逆転していて一緒に住んでいながらほとんど会話を交わすことのない時期もありました。たくさんの喧嘩もしたし、世界の中心ではないけど大阪府の東端っこの方でいろんなことを叫んだこともありました。妻と暮らしはじめたところなので思い入れもあるし、5ヶ月ぶりに久しぶりに乗る大阪市営地下鉄に揺られながら、自分たちのことしか考えていないおばはん3人組みに座ることを散々妨害されながら、久しぶりに降り立ったかつては毎日利用していた駅、そしてかつては毎日そこで生活していた土地に降り立つと、何も変わっていなくて驚くようなことは何もなく、そしてボクはもうすでにそこの人間ではなくて余所者になったような気になりながらもそんなことはボク以外の誰も気にかけていなくてただの独りよがりなわけで、ただボクはそのような独りよがりを覚えてしまうのだった。ようするに、地下の駅から地上に出てもあたりは何も変わっていなくて、ただ駅前に立つかつての我が家(地上に出たところからマンションは見える)のベランダには見慣れぬ簾が立てかけられてあったというただそれだけのことなのでしょう。
 美容院は改装を終えすっかり広くなってました。広くなって間取りも変わって設備も変わって、変わってないのは人だけ。まるではじめて入る店みたいだったけど、知ってる顔をそこに見て向こうがボクのことを知っているという態度を見て安心しました。いつも髪を切ってもらっている同年代の男性美容師の一言目は『伸びましたね』、二言目は『太りました?』だったと記憶していますが実際には『いらっしゃいませ』とか『お電話ありがとうございました』とか『yosshi さん』とか(yosshi とは呼ばないけど)言ってたと思う。ずっと通っている美容院に足を運ぶことの利点はもちろん過度の説明を要求されないということでしょう。『いつも通りに』とか『いつもより少し長めに』とか『いつもほど短くなくて、でも軽めで』とかそんな曖昧なリクエストが通じる(通じざるを得ない)のですから。近未来的な洗髪台では洗髪員(と言うのか)の動作のぎこちなさを感じながらも半年間延び放題だったのをすっきりとしてもらって美容院を出て、さてどうしようか、久しぶりに少しあたりを散策してみようかと少し思ったけど実際に取った行動は本町にあるマッサージ屋さんに予約の電話を入れることでした。
 さっさと本町に移動して指圧マッサージを受けました。頻繁に訪れるわけではないですが数年来通っている店です。はじめて訪れたときから担当してくれていた方が出産のために退職すると知ったのが1年前くらいだった気がしますが、マッサージ後のお茶をいただきながらその日担当してくれた人から、そのかつてボクを担当してくれていた方が来週くらいに復帰するという話を聞きました。なんという奇遇とすれ違い! 偶然がもたらす驚きはいろんなところに潜んでいます。

 インドアだった日は久しぶりに大阪の昼のテレビ番組を見ながら PHP のフレームワーク symfony を触ってみたり、貿易関係の仕事をしている妻が会社で共同購入したボジョレを飲んだりと大変ゆっくり過ごしました。

 久しぶりに一週間以上大阪に帰って思ったのはやはりボクは大阪の人間だということです。大阪は居心地が良い。それはボクが大阪の土地や人間を知っているからかな。それなら知らない土地にはボクのまだ知らない新しいことがたくさんあるということになるしその通りだと思う。本当にそうなのかと詰問されると答えに窮するけど、それはボクがこの新しい土地でほとんど出歩いていないからかもしれない。家の中にいてネットに繋がっていれば世界の何処にいてもほとんど同じようなものでしょうから。
 しかしボクは大阪に詳しくて大阪が好きだなあと我ながら思った九日間でした。

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