楽しみを見出す

 仕事の帰りに少し大きな薬局に寄ることに楽しみを見出しています。しかしそんなことを言ったら昨日の残りのワインを飲むことに楽しみを見出してもいるし、お風呂でお湯に浸かってヴォネガットやシェイクスピアを読むことに楽しみを見出してもいる。湯たんぽで温めた買いたての毛布にくるまって眠ることにも楽しみを見出しているし、かつて愛していたという事実を忘れていたのを思い出すことにも楽しみを見出している。もちろん生活のあらゆる側面に楽しみを見出すことは原理的には可能かもしれないけど現実的には不可能な日常をボク(たち)は送っている。やむを得ない取捨選択と自ら望む取捨選択とがある。とてもおいしいレストランとそこそこおいしいレストランがあってもいつもとてもおいしいレストランに行くとは限らない。2軒のレストランが隣り合っていたらその取捨選択も気楽なものになるけど、もし大阪と東京とに離れていたらその取捨選択はより慎重に行われるだろうと思う。と、このように思うがままにあれこれ書くことにも楽しみを見出してもいる。
 仕事の帰りに薬局に寄って買い物をしなければと思い出したときには歯磨き粉だけを買うはずだったのが、貼る使い捨てカイロ30個とサロンパスと足裏に貼って寝ると疲れが取れるというものも買った。使い捨てカイロのまとめ買いは妻がアマゾンで買ったという話をこの前聞いていたのだけど、重い荷物を持って帰ることを思えばアマゾンで使い捨てカイロをまとめ買いするというのも悪くないと言っていた(他の商品と一緒に買えば送料も無料になるし)。30個くらいならそんなに重くなかったので買って帰ったわけですが。

 少し前からスローターハウス5を読んでいるのですが少し休憩してヴォネガットの遺作だという国のない男を読みました。先月くらいに大阪に帰ったときに買ったと記憶してますがずっと読んでなかったのです。そしてこれはとてもおもしろい本でした。皮肉とユーモアと説得力と愛にあふれている本です。ヴォネガットという作家自身というよりは、スローターハウス5という作品に思い入れがあったのですが(この小説で大学の卒論を書いた)、他の小説をあまり読んだことがなかったのでこれを機会に読んでみようかしらと思っていたら、今日会社に行ったらこの間から貸していたボリス・ヴィアンのうたかたの日々が同僚から帰ってきました(貸していたのはボリス・ヴィアン全集3)。それでまた読みたくなってきたし(全集は入手出来るのかしら)、全集といえばガルシア・マルケス全小説シリーズにも惹かれています。

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