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 2002年の6月8日にボクは彼女と出会った。彼女はそのときボクが求めてたものをボクに与えることが出来る唯一の存在だった。その出会いはほとんど啓示的でさえあった。のちに彼女との出会いを人に話して聞かせる際にもボクは得意げに出会いの偶然性を強調したものだった。偶然性を強調すればするほどボクたちの出会いにはより神々しいヴェールがまとわれるような気がしたからだ。
 彼女はボクを新しい世界に導いた。ボクは新しい世界で自分の居場所を見つけることが出来た。新しい空気を胸に吸い込み、新しい人々との新しいコミュニケーションを楽しむことが出来た。それはすばらしい体験だった。少なくとも彼女と出会う前には想像だにしなかった世界に自分が今いるのだと思うとなんだか所在なげになることもあった。しかし新しい世界の時間はあまりにも早く流れていったので自分の所在なさを気にしている暇なんてなかった。やがてボクは自分が自分の足で歩いているのか、あるいは何かに押されているのか次第にわからなくなっていった。

 そんな風にして6年が過ぎた。振り返ればあっという間だったかもしれない。それでもたくさんの思い出がこの6年には凝縮されている。良い思い出もあれば悪い思い出もある。でも別れを目前にすると過去の悪い思い出も何かあたたかい光に包まれているように見えるから不思議なものだ。別れは急に思いついたものではけしてありません。自分なりにじっくりと、秋の夜の椎茸のようにひとりで根気よく考え抜いた結果なのです。

 6年というけして短くない時を共有した君とお別れするのは悲しいけれど、君とのたくさんの思い出を胸に抱いて今日からボクはまた別の新しい世界に飛び込む決意をしたのだから、どうか君には応援していてほしい。
 ありがとう。

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